「恥」の芽生え
「喜び、不安、恥、怒り」
自分が感じている感情と全く同じ感情を他人が感じることは不可能です。
それでも、自分が今感じている感情が、世間一般でいう「怒り」の感情だとか、「悲しみ」の感情だとかの判断がつきます。
名前がついている数ある感情のうち、どの感情が今自分が感じている感情なのか、何で人はわかるのでしょう。考え出すとなんだか迷宮入りしてきそうです。
そんな抽象的な感情ですが、ある特定の感情が芽生えた瞬間を覚えている人はどれほどいるのでしょうか。
自分の体験になりますが、私に実際にあった「感情の芽生えの瞬間」を記してみます。
私が物心ついたのは3歳前後の時でした。わりかし早い方でしたが、物心ついたころには既に「喜び」と「恐れ」の感情がしっかりとありました。
でも、もう少し複雑な「嫉妬」や「恥」は、まだまだ芽生えていませんでした。
3歳の私が鮮明に覚えている光景があります。
送迎バスの中で隣に座っていた"トキミツくん"という男の子がある日、自分のお●ん●んの皮をいじっていました。
そんな彼を、3歳の私は、行列をなした蟻を数えんばかりの熱意で凝視していました。
でも、大事なところ見せて「恥ずかしい」とか、「気持ち悪い」などという感情は抱いていませんでした。
なせなら、「恥ずかしい」という概念がなかったから。
ではいつそれらの概念がわかったのでしょうか?
ちょっと時を早送りし、5歳になりましょう。
5歳からアメリカに住み始めた私は、英語の語彙力が“apple”と“toilet”しかない状態でキンダーガーデンに放り込まれました。
子供の耳とはすごいもので、当時何を言われているか意味がわからなくとも、音は完璧に記憶しています。
その音を何年か後に思い出して、ようやく当時の会話が理解できた、などということはよくありました。
例えば転校した初日、金髪のアマンダちゃんが話しかけてくれました。
私は英語がわからなかったので、何も返事ができないでいました。
そんな私をみて、5歳の素直なアマンダちゃんはこう言っていました。
"are you stupid?"
当然ながら何を言われたかわからない5歳の私は、ニコニコと頷くだけでした。。
アホな私は、ただ金髪の女の子と友達になれた(?)ことが嬉しかったのです。
もう一つ、英語がわからなかった時のエピソードがあります。
実はこのときに、「恥ずかしさ」を初めて感じたのです。
アメリカでの初めての夏休みに、私はサマーキャンプというものに行きました。
サマーキャンプのアクティビティの一つに、ダンスがありました。
ダンスレッスンの初日。
その日はヒッピー風のお兄さんがバンジョーを弾いてくれました。
お兄さんがバンジョーを弾くと、周りの子供が踊り出します。
訛りの強い英語がまだ聞き取れなかった私は、周りにあわせて踊り始めます。
踊り始めたら、何だか楽しくなっていました。
そんな中、バンジョーのお兄さんが何か言っていました。
聞き取れない私は、ただその時を楽しんでいました。
すると急にバンジョーの音色が怖い音色に変わりました。
びっくりしながらも、私は無我夢中で踊り続けました。
すると気づけばヒッピー風のお兄さんが目の前に。
(怖かった。。)
ぎくっとして踊りをやめると、周りのみんなは既に思い思いのポーズで固まっていました(freeze!)。
どうやら、「怖い音楽になったら怪獣がくるから身をひそめなければいけない」
のだそう。
英語がわからない私には、怪獣の出現は唐突すぎました。
怖かったし、びっくりした。
何より、みんなが知っていることを自分だけ知らなかったことが、むずむずしました。
このむずむずは何だろう。
顔が熱くなり、耳が赤くなる。
なんだか、人の視線が痛い。
このとき、この感情に名前はありませんでしたが、後からその感情こそが"embarrassed"であることを知りました。
5歳という幼心に、”恥ずかしさ”が植えつけられた瞬間でした。
こうして、人は感情を生み出していくのでしょうね。
冒頭の疑問、どの感情がどの名前なのか、という点についてはまだ疑問が残りますが。。
陶芸で無心になってきた
年末年始。休みとはいえ、なんだかんだで気疲れがたまったよ〜という人も多いと思います。
会社の忘年会や同窓会など、一つ一つはどれも本当に楽しいイベントばかりですが、立て続けに出ると胃腸が殺られてきますね。
ああ〜独りの時間が欲しい!!となった時は、ぜひ陶芸を体験して観ましょう!
自分一人の世界で、手が粘土に触れる感触に包まれながら、自分が想像した形を自分の手でうみ出せる喜びを、ひたすら無心になって味わえますよ!
もちろん、カップルや友人で、一緒に体験してみるのも楽しみ方の一つです。
陶芸って何?
粘土を成形したものを高温で焼き上げ、茶碗や湯のみ、壺などを作ります。
縄文時代に作られていた縄文土器も陶芸の一種だそうです。こんなに昔から使われてきた方法が今も残っているなんて、なんだか不思議です。
粘土は簡単に成形ができるので、初心者にも扱いやすく、難しいことを考えずに楽しむことができます!
成形の方法は?
陶芸で成形する方法は、①手びねり と ②電動ろくろを使った成形 の2種類があります。今回私が体験したのは、①の手びねりです。
ろくろを使わず、台座の上に置いた粘土を手で成形していきます。
電動ろくろで作った陶器にくらべて、完成形が整っているとはいえませんが、自分の手一つで形を生み出す喜びを感じることができます。
同じ手は二つとしてありませんので、ろくろで作った陶器に比べるとオリジナリティがより一層弾けた陶器が作れます。
おすすめ場所は?
私が伺ったのは銀座のこちらの工房です。
初心者の私でも、“ほうほう!これは上手く行きそうだ!”
と思えるほど、優しく褒め上手な店長さんが楽しく教えてくださいました!ginzajiyukobo.on.omisenomikata.jp
陶芸の体験場所を探せるサイト
陶芸体験はasoview!で予約できます。このサイトには、陶芸教室だけでもかなりの数がありました。
場所、人数、時間、やりたい遊びの種類を選択すれば、自分にぴったりのレクリエーションが選ばれます。
陶芸はもちろん、アスレチックやガラス制作など、色々な遊びを体験できますので、無性に無心で遊びたくなったら、のぞいてみることをおすすめします!
焼き上がりは2〜3ヶ月後ということなので、忘れた頃に作品の完成形が見れるということですね。
未来の自分へのちょっとしたサプライズということで。楽しみです。
『アリー/ スター誕生 』1分映画感想
『アリー/ スター誕生(2018)』
類稀なる美声をもつ、主人公のアリー。
彼女は歌手になる夢を持ちながら、ウェイトレスとして働く日々を送っていた。
だがある日、国民的スターであるジャクソンに歌の才能を見初められ、歌手への道のりを歩みはじめる。
のちに夫となるジャクソンの助けもあり、その美声とパフォーマンスで一躍スターの座におどり出るアリー。
しかし、夫となったジャクソンは次第に酒とドラッグに溺れ、アリーの足を引っ張るようになっていく。
夢を叶えた女の子のサクセスストーリーであり、夫婦の深い愛情を描いた、感動の物語です。
いわずもがな、レディー・ガガ演じるアリーの渾身の歌は感動モノです。
中でも、最後のシーンでアリーがジャクソンに捧げた歌、I'll never love againは別格です。
単体でも甘く切ない気持ちになりますが、映画の中でこの歌が歌われた理由と、歌っているアリーの心情を考えると、思わずホロリときてしまいます。
2019年は猪突猛進
あけましておめでとうございます。
振り返れば、2018年は変化に溢れた一年でした。住まいを移し、フリーになり、転職もしました。
しかし消極的な変化が多く、2018年を生き切った!という晴れ晴れとした気持ちにはついぞなれませんでした。
2019年は無駄な時間をつくらず、積極的に動きたいと思います。以下は絶対に守りたい6か条です。
(ボーッとする時間も必要ですが、それは”必要な時間”に入れます)
1. 中国語を習得する(今は初心者レベル)
2. ローカライゼーションに精通する
3. ジャンル問わず、100冊を読破する
4. 映画はできる限り観る。最低毎週1本は要約する
5. 最低でも1週間に1回ブログを更新する
6. 毎日1万歩以上歩く
1. 中国語を習得する
2018年は中国本土に数回行きましたが、全くと言っていいほど英語が通じないことに驚きました。
そこでこちらの教材を購入しました。
2019年はこの教材の単語・例文は全部頭にいれ、ビジネスレベルの会話ができるレベルにまで中国語力を引き上げたいと思います。
進捗報告します。
2. ローカライゼーション
昨年の暮れから、ローカライゼーションを学びたい欲が高まっています。本当に。
中国現地の友人に会って感じましたが、日本のコンテンツの需要は確実に高まっています。特にアニメや漫画の人気はもはや不動と言って良いでしょう。
しかし、日本のコンテンツが効率良く、対海外に発信されているとは言い難い。
もっとも海外の人にすんなりと受け入れてもらえるような、魅力が伝わるような情報の切り出し方、発信の仕方をしていくために、勉強したいと思っています。
大学院(国内外問わず)で博士号を取ることも考えていますが、まだ考え中です。なかなか"localization"の専攻がある学校が見つかりません。。
書籍でのリサートも始めました。昨年はこの本を読み、すっかりデービッド・アトキンソン氏のファンになりました。
3. 100冊読破
最近は仕事にかまけてすっかり読書から遠のいていました。良質な日本語に絶えず触れるためにも、今年は100冊以上は読みたいと思います。
4. 映像翻訳者である以上、映画をみることは仕事でもあります。
しかし世間一般では、映画はいわゆる"娯楽"であると捉えられているせいか、どうしても映画を見ている自分に罪悪感を感じてしまうのです。
そこで、映画を観る目的を明確にするために、この項目を立てました。これで少しばかりの義務感が生じれば、罪悪感は減るでしょう(hopefully)。
5. このブログはいつも3日坊主になってしまいます。その事実を改めて自分の脳みそに認識させるために書きました。無理なく楽しく更新していきたいと思います。
6. 毎日1万歩以上歩く
健康は何にも勝る財産です。仕事や勉学に集中できるよう、身体を大切にします。
ちなみに、体調管理に愛用している時計はこちらです。
中国の"小米(Xiaomi)"という会社のMi band 3です。
軽くて、電池持ちが非常に長く(3 weeks! as opposed to Apple Watch's 72hours)、睡眠の質まで測ってくれます。
みなさんもどうか良い一年をお過ごしくださいませ☺️
【映像翻訳】"Polite way of putting it" 〜記憶に残った字幕〜備忘録3
2018年1月28日
グッド・ワイフ 彼女の評決 シーズン6−19 正義なき戦い
映像翻訳を習い始めて早1年。映像作品を見るときは、どうしても字幕に目がいくようになってしまった。
映画やドラマは勉強としてではなく娯楽として観ている。でも折角なので、良いなと感じたり、目から鱗が落ちた!字幕は書き留めておこうと思い、ドラマ・映画の台詞を一部引用して記させていただく。
今回も以前より紹介している人気テレビドラマシリーズ、グッド・ワイフ 彼女の評決の一場面を紹介する。
今回は、私の解釈が字幕と少し異なるために記すものである。背景の説明をば、簡潔に。
物語の主人公アリシア(画面右)は、イリノイ州の州検事に当選したばかりである。
しかし、投票数を不正に改ざんした容疑をかけられ、州検事の座を辞退することを強いられていた。
彼女に辞退を要請しているのは民主党全国委員会の委員長、フランク・ランドー(Frank Landau)であり、半ば脅迫めいた口調でアリシアに辞退を迫っていた。
彼がアリシアに、辞退を迫られた事実について聞き出している場面である。
台詞及び字幕のやり取りは以下の通り。
ランドルフ氏:
Frank Landau asked you to withdraw altogether?
ランドーが辞退を迫ったのか?
アリシア:
Well, that's a polite way of putting it.
言い方は丁寧だった
以上が二人のやりとりである。会話のごく一部を抽出しているので、これだけでは判断がつかないかもしれないが、どうもアリシアの台詞(紫色)の字幕が私の中でしっくりこないのだ。
"That's a polite way of putting it"の"That"は、委員長のランドーではなく、今話しているランドルフ氏の"withdraw altogether"を指している。
このためアリシアの発言は、
「趣旨は合っているが、あなたの発言ほど丁寧な言い方ではない」
すなわち
「もっと荒っぽい強い口調で辞退を迫られた」
という意図と解釈するのが自然だと、私は思う。
そこで、自分だったらどんな字幕を当てようかしら、と生意気ながら考えてみた。
アリシアのセリフは約2秒なので、使用できる文字数は8文字前後。
原文に含まれている要素は、
①辞退を迫られたことの肯定
②言い方の丁寧さの比較
の2点。
可能であれば両方の要素を字幕に表したいが、①の方がより重要なメッセージであることを踏まえ、いくつか候補をあげてみる。
a.もっと荒い言い方だったけど(①②は含まれるが文字数オーバー)
b.要するにそうね(②が抜けている)
c.もっと失礼だったけど(暗に①の要素を含み、②も表している。計9文字)
d.丁寧に言うとそうね(①、②を含む。計9文字)
e.そうとも言えるわ(①しか含まれない)
パッと思いつくパターンを書いてみた。この中だとc. d.がいいかしら。
①と②を約8文字で両方表すのは難しい。。独りよがりな訳にならないよう、他のジャンルの作品も観て、コンテンツの正しい解釈の勉強もし、日本語表現力も磨いていきたいと思う。
※失礼な内容や誤認等ございましたら、お手数ですがご指摘いただけますと幸いです。
【映像翻訳】"Kafka in action" 〜記憶に残った字幕〜備忘録2
2018年1月7日
グッド・ワイフ 彼女の評決 シーズン6−3 聖なる仲裁人
映像翻訳を習い始めて早1年。映像作品を見るときは、どうしても字幕に目がいくようになってしまった。
映画やドラマは勉強としてではなく娯楽として観ている。でも折角なので、良いなと感じたり、目から鱗が落ちた!字幕は書き留めておこうと思い、ドラマ・映画の台詞を一部引用して記させていただく。
気に留まる字幕には毎日出会えているのだが、書き留める時間を取れていないのが昨年の反省点。今年は一週間に一回くらいは更新できるかな。
今回も、弁護士ドラマのThe Good Wifeから引用する。シーズン6−3のある場面である。背景の説明をば、簡潔に。
女性弁護士のダイアン・ロックハート(中央)は、所属する弁護士事務所のパートナー、ケーリー・アゴス(画面右)の弁護を務める。
弁護士のケーリーは以前、身に覚えのない薬物所持の容疑で逮捕された。事務所や自らの顧客の協力によって何とか保釈金を支払い、保釈されたばかりである。
しかし安堵のため息をつけたのもほんの束の間。保釈されたケーリーに対し、検事補フィン・ポルマー(画面左)が保釈の取り消しを要求してきたのだ。
保釈の取り消しを求める検事補の発言を受け、ダイアンは裁判官に次のセリフで意義を唱える。
"This is-- This is Kafka in action."
ん?活動中のカフカ?どういうこと?言いたいことはわかるけど、どう訳すのだ?
少し前に遡って会話を追ってみたい。
青文字:裁判官 黒文字:ダイアン
ダイアン:
Mr. Agos has already been through a source of funds hearing.
保釈金の資金源も確認済み
Now the county wants a revocation of bail hearing?
This is-- This is Kafka in action.
ここで保釈の取り消しとは
理不尽です
裁判官:
The longer I live, the more I realize that everything is Kafka in action.
世の中には理不尽なことだらけだ
カフカに対する言及があったのは上のやり取りだけであり、この前のエピソードを見てもこの後の展開を見てもカフカが登場する場面はない。
よって、この作品の中で、”カフカ”が特別な意味を持っているわけではなさそう。
ということは、ここでダイアンが"カフカ"と言うことで表したかった意味とは、世間一般的なカフカに対する認識と等しいことが考えられる。
カフカの作品がどれほど世間一般の人々に認識されているかはわからない。しかし、少なくともこの場面を構成する人物は、検事補と弁護士と裁判官という教育水準の非常に高い人たちだ。そのため、最低限の文学的素養は各々が備えており、共通の認識があるという設定であると考えられる。
では文学的素養がある人々のカフカに対する共通理解とは何であろう?
まず、"Kafka in action"というフレーズをググってみた。しかしヒットするものは無関係の商品のみ。何か慣用句として使われているわけではなさそうだ。
次はカフカの作品に共通して表されているテーマを探してみる。対する私の理解が浅いため、この共通認識を深掘りするには時間がかかる。昔、学生の頃にカフカの代表作の一つである「変身」を一読した時に真っ先に心に浮かんだ感想は「気持ち悪い」であった。それから、「無常感」を感じた記憶もある。
私がこの字幕を翻訳するのであれば、カフカの作品をもう一度数作読み、共通する概念を洗いざらい浮き出して、その中からこの場面に最適な単語を選びたいと思う。
この字幕を訳された方(どなたか存じ上げません。失礼な事を書いていたら申し訳ありません)もきっと、限られた時間の中でカフカの作品を読み漁り、カフカの作品が意味する事を濃縮してから、この場面にぴったりのワードチョイスを抽出してこられたのだろうなと思う。
何れにしても、身に覚えのない罪で逮捕され、保釈金を払って保釈されたにもかかわらず保釈を取り消しされそうになっているケーリーの境遇にぴったりな言葉は?と考えると、”理不尽”と訳出して間違いはなさそうだ(もちろん正解もないが)。あるいは”不条理”でもいいかもしれない。
教養の高いダイアン独特の語彙に、頭をひねらされた場面であった。
もう一度、カフカの作品も読んでみたいと思う。
【映像翻訳】〜記憶に残った字幕〜備忘録1
2017年12月10日
グッド・ワイフ 彼女の評決 シーズン4−17 死因審問
映像翻訳を習い始めて早1年。映像作品を見るときは、どうしても字幕に目がいくようになってしまった。
映画やドラマは勉強としてではなく娯楽として観ている。でも折角なので、良いなと感じたり、目から鱗が落ちた!字幕は書き留めておこうと思い、ドラマ・映画の台詞を一部引用して記させていただく。
今回は弁護士ドラマのThe Good Wifeから引用。場面の説明をば、簡潔に。
女性弁護士のアリシア(左)は、交通事故に遭い亡くなった男性の妻を擁護する。弁護の相手は、事故に不審な点があったとして保険金支払いを渋る保険会社。手前の男性が保険会社の弁護士、ホブソンである。
保険金支払いについてアリシアとホブソンが交渉を開始する場面を紹介したい。
青文字:Hobson(ホブソン)黒文字:Alicia(アリシア)
"Hello, Will Hobson."
どうも ホブソンです
"I'm so sorry about your client’s loss"
この度は お気の毒に
"Yes, but not sorry enough to pay out her life insurance policy."
それなら保険金の支払いを ←①
"My client Wolf & Bland has some questions about the untimely death."
死因について気になる点があるんです
"Justice Ludwig died in a car accident
I'm not sure how much more accidental it gets."
不運な事故死の他にどんな可能性が? ←②
"Justice Ludwig was talking on his cell phone while driving and his car wasn’t Bluetooth enabled."
ハンズフリー機能がないのに 彼は携帯で通話していた ←③
気になった字幕は上の①〜③。
今回は①について記す。
①の直訳は次の通り。
「気の毒に思ってくれているのはどうも。でも生命保険金を支払うには気の毒な気持ちが足りていないのね。」
となる。より自然な日本語に直すと、
「そう、でも保険金を支払うほどは気の毒に思ってくれていないのね。」
意味は通じるが、これでは字幕の制限文字数を優にオーバーしてしまう。
加えて、アリシア独特の鋭いユーモアが伝わらない。
では、アリシアはどんな気持ちで何を発言したのだろう?
保険金が支払われず困っている依頼人を見て、弁護士は何を思うか?
⇨『気の毒に思うのなら、保険金を支払ってよ!』 という思いになるだろう。
この思いを、弁護士の毅然とした口調で、端的に表したのが、画として紹介した字幕:
「それなら保険金の支払いを」
である。
アリシアのやや皮肉な口調は強くは感じられないが、毅然とした態度がスパッと表現されており、気持ちがすっきりする台詞であった。
全編はNetflixで観れる。おすすめシリーズなので是非!